一方通行なアルバムレビュー

sens unique しゅうくによる、自分のiTunesの曲を上から順に聴いていき、一方的に感想を綴るブログ。

THE BOOM/極東サンバ

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「FACELESS MAN」ではバラバラだった音楽性が、ラテン・ジャズにほぼ一本化されたアルバム。

高度な音楽性が要求されるジャンルにチャレンジし、見事にTHE BOOMの音楽として昇華されている。
「風になりたい」「帰ろうかな」「berangkat-ブランカ-」等、シングル・代表曲となる曲も、無理なくラテン要素を取り入れ、しかもポップスとして成り立っている。
「Human Rush」「Far east samba」のようなハード目のラテンミュージックもイカしてるけど、「carnaval-カルナヴァル-」「It's Glorious」「それでも気車は走る」のような優しく慰撫するような曲を作り得たことにも感動するし、「TOKYO LOVE」「東京タワー」に関してはもはやスタンダードナンバーと言っても差し支えないほどの出来だと思う。


以上のような感想ではあるけれど、ここにきて宮沢のボーカルが曲の中では異物となり、それまでの「宮沢のボーカルを中心としたポップス」ではなくなってきてるところが面白く感じると同時に、このバンドの限界だったような気もする。
今でも「TOKYO LOVE」「東京タワー」を中心に好きな曲はいっぱいあるけど、それはTHE BOOMとして好きという感じではなく、音楽として好きなんだろうなと思う。
「FACELESS MAN」の無骨で記名性の強いTHE BOOMに触れた直後だったので、少し意外だったし、寂しくも感じた。
記名性から匿名性へ移行する段階だったのかもしれないけど、これ以降のアルバムを聴いてないのでそのへんはよくわからない。


ただ1曲だけ、なんとなくその辺の自分に対する違和感を吐露したようにも思える「Poeta」がとても好き。
このアルバムのライブツアーに行った時、この曲をアンコールの1曲目として宮沢ひとりで弾き語りしたのを見た時、「そう、これ!」と狂喜しました。